「人は血管と共に老いる」と言ったのは、カナダの高名な医学者、ウィリアム・オスラー博士だそうです。
血管が硬くなるのは、博士が言うように老化現象のひとつで仕方のないことですが、老化を遅らせることはできるようです。
血管を柔らかくする有酸素運動 まだ柔らかい若者でも…
近年は血管の老化についての研究も進んでいます。
運動によっては、血管の老化・硬化の進行を遅らせることができるのです。
まず明らかになったのは、持久性を高めるために有酸素性のトレーニングをしているマラソンや長距離走などのアスリートは動脈硬化度が低く、血管が柔らかいことです。
一般の中・高齢者では、活動的な人のほうが非活動的な人よりも動脈硬化度が低くなっています。
有酸素運動を行えば、中高齢者でも、あるいは肥満の人でも血管が柔らかくなります。
血管が柔らかい若者でも、有酸素運動を二ヶ月ほど続けると血管がさらに柔らかくなります。
しかし運動をやめてしまうと、一ヶ月ほどで血管の硬さは元に戻ってしまいます。
運動は継続する必要があることは、これからもわかります。
高強度の筋トレ(無酸素運動)は血管を硬くする
それでは、筋力トレーニングはどうでしょうか?
陸上競技の投てき選手など、高強度の筋トレを実践しているアスリートは、若年であっても動脈が硬いという研究結果があります。
また中年でボディビルダーのように激しい筋トレをしている人は、動脈が硬いことがわかっています。
高強度の筋トレを始めると、二ヶ月ほどで動脈が硬くなるとの研究もあります。
しかしこの場合も、筋トレをやめると血管は元の柔らかさに戻ります。
対して中強度の筋力トレーニングであれば、血管の硬化を防げることがわかっています。