私は大学卒業後、数年して実家の自営業を継ぎました。
自営業とはいえ、仕事上の付き合いはあります。
たまには飲み会も催され、みんなでカラオケ、という流れはお約束です。
社会人になっても歌わないのは変わらず しかしある日…
社会人になってもカラオケが苦手なのは変わらず、基本的に私は、回ってきたマイクをスルーしていました。
周囲は優しい人ばかりだったので、それでブーイングが起きることはありませんでしたが、「やっぱり歌えたほうがいいかなぁ」という自己嫌悪はずっと感じていました。
歌わない分、場を盛り上げようと拍手要員に徹し、マイク拒否を埋め合わせしているつもりでした。
この頃になると、「オレは歌わない」と開き直りはじめ、「二次会がカラオケなら行かない」とハナから拒否するようにもなってきました。
少しトシをとると厚かましさも出てくるものです。
カラオケに行く回数自体が少なくなったため、社会人になってからはこれでずっと押し通しました。
しかし、それでもどこかで「カラオケを克服したい」という気持ちがあったのでしょうか。
最も長い付き合いで、気心の知れた友人とカラオケに行った時は、キーを下げて歌ってました。
まだまだ自己嫌悪と自意識は消えておらず、心から楽しむ、というわけではありませんでしたが。
そんなこんなで、社会人時代のしばらくはカラオケとはほとんど無縁の生活を送っていました。
・・・40歳を過ぎたある日、ふと「ひとりカラオケ行ってみようかな・・・」と思いつくまでは。